日本相撲協会の審判部が14日目の打ち出し後、千秋楽の取組編成会議を開き、結びの一番は、勝った方が優勝となる大関貴景勝(26=常盤山)-東前頭13枚目琴勝峰(23=佐渡ケ嶽)戦が組まれた。11勝3敗同士の激突となる。

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優勝ラインが低いとはいえ、琴勝峰が千秋楽をトップで迎えるのは立派です。恵まれた体と身体能力の高さには定評がありましたが今場所は、幕内上位にいて「琴ノ若より先に三役に行くのでは」と期待していた2年前よりも力は上です。以前は怖がって腰が引けて逆転される印象があったけど、ケガで十両まで落ちてからの2年で相撲が変わりました。腰をぶつけるようにして当たれるし、何より下半身で相撲が取れているのがいい。大栄翔戦も前への出方に粗さがなく、すり足もいい。最後にグッと腰を下ろせるのは、腰を引いていない証拠で怖がることがなくなりました。優勝を懸けた貴景勝戦は、とにかく当たって前に出ること。前に出られれば、たとえ負けても得られるものは多く失うものはありません。むしろ千秋楽結びの一番という独特の緊張感や、慣れない三役そろい踏みに気を取られないか、そちらの方が心配です。相撲に集中するためにも師匠や部屋付き親方たちに聞いて、万全の状態で臨んでほしいです。

一方の貴景勝は横綱不在の1人大関で、ここまで責任は果たしています。終盤の連敗は痛かったけど、あれも立ち合いのタイミングをずらされただけで相撲そのものに問題なしです。心の疲れもあるでしょう。それもあと一番。ここまでの原動力となった、先場所の悔しさを、土俵にぶつけてほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)

貴景勝、指が口に入っても攻め貫き3敗守る 琴勝峰と千秋楽V決戦へ/初場所14日目写真特集