大相撲で大関経験者の朝乃山(29=高砂)が、返り三役に向けて始動した。

5日、都内の部屋で名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)に向け稽古を再開。相撲は取らず、四股などで汗を流した。幕内力士として2年ぶりに土俵に立った5月の夏場所は、東前頭14枚目で12勝3敗の優勝次点。来場所は番付が幕内上位の可能性があるが「ようやくここまで来ることができた。2桁白星と優勝争いに絡むことを目標にしたい」と力を込めた。

夏場所前も同じ目標を掲げ、有言実行。ただ好成績で終盤戦を迎えたため、12日目に関脇大栄翔、13日目に横綱照ノ富士との割が組まれ、そこで連敗。自力優勝が消滅した。三役以上の上位と総当たりの幕内上位となれば、一段と2桁白星の難度は高くなる。それでも夏場所は「声援に乗せられた。3月の大阪場所よりも疲れはない」と、応援が力になると再確認。来場所で2桁白星なら「年内に三役」の目標を、9月の秋場所に前倒しできる可能性が一気に高まる。

名古屋は一昨年、6場所の出場停止が始まった場所で、昨年は復帰の場所だった。暗い影を落とす節目が続いたが「(出身の)富山から車だと来やすい準ご当所。自分の相撲を取りきりたい」。20代最後の名古屋で鮮やかに記憶を塗り替えるつもりだ。【高田文太】