優勝争いでトップを走る2敗力士の2人は、大関霧島(27=陸奥)が関脇大栄翔(30=追手風)を、はたき込んで2敗を堅守。先に土俵に上がった熱海富士(21=伊勢ケ浜)は、高安(33=田子ノ浦)に押し出しで下し、先場所に続く11勝目をマークした。また、3敗で追っていた琴ノ若、一山本は、ともに敗れ4敗に後退した。

取組後、14日目の取組編成会議が開かれ、両者の直接対決が決まった。これにより、優勝争いは霧島と熱海富士の2人に絞られた。

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組んでよし、離れてよしの万能型が、本領を発揮した。霧島は立ち合いから反応良く、大栄翔の突きを次々と下からあてがった。相手の圧力を逃がしつつ、逆に押し返した。距離を詰めて組みつけば、押し相撲の大栄翔よりも四つ相撲の霧島の流れ。慌てて前のめりになった相手を、冷静にはたき込んだ。「自分の形で変なことをせずにいけた。すごくよかった」。四つ身の強さが相手を焦らせ、突き、押しの応酬という相手の土俵でも「自分の形」と言えるほど今は隙がない。

熱海富士と並ぶ優勝争いのトップを守ると同時に、年間最多勝争いで単独トップに立った。取組前までは今年6場所合計で59勝。年間白星は大栄翔と並んでいた。それが直接対決に勝って1歩リード。今場所が始まる前は、大栄翔を2差追っていたが、ついに逆転し「よかった」と、素直に話した。続けて「自分のできることを部屋でやってきた結果」と、稽古のたまものだと胸を張って話した。

14日目に2敗2人の直接対決が組まれた。3敗は不在で、優勝は2人に絞られた。熱海富士とは初顔合わせだが「いつも通り、自分の相撲をやっていくしかない」ときっぱり。優勝なら12勝以上となり、来年1月の初場所は綱とり。2度目の優勝と初の年間最多勝を手にし、今年の顔と証明するつもりだ。【高田文太】

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