大関とりの関脇琴ノ若(26=佐渡ケ嶽)が、新入幕大の里との1敗対決を制し、優勝争いのトップを守った。相手は初土俵から5場所目の西前頭15枚目。通常であれば対戦しない番付だが、好成績とあって上位との対戦が組まれた。最初の“壁”として審判部から指名された格好だったが、しっかりと番付の違いを示した。9勝1敗で中盤戦を通過し、11日目は西前頭11枚目王鵬との、ともに祖父を横綱、父を関脇に持つ“サラブレッド対決”が組まれた。

大の里とは、本場所はもちろん、稽古場でも肌を合わせたことはなかった。それでもこの日の朝稽古後は「まずは自分のやるべきことをやる。相手どうこうではない。意識していない」ときっぱり。定評のある相手の立ち合いの重さ、ぶつかった時の感覚、土俵際の柔らかさ…。実際に肌を合わせないと感じられない要素があっても、不安は全く感じていなかった。

189センチ、177キロの自身よりも、身長も体重も大きな相手は、大の里の他には、実は幕内では湘南乃海と北青鵬、王鵬、碧山と、数えるほどしかいない。ただ、日体大で2年連続アマチュア横綱に輝き、スピード出世記録で昭和以降3位の所要4場所で新入幕という新鋭の動きは、同じ二所ノ関一門の連合稽古から、目に焼きつけていた。「連合でも見ていたので頭に入っている」と、対戦した際のイメージはできていた。

琴ノ若にとっては横綱、大関に立ち向かうのとは一味違う一番となった。新入幕の挑戦を迎え撃つ立場。大関昇進に向けて、負ければ昇進の機運に水を差されかねない状況だった。近い将来、互いに横綱や大関などの看板力士に成長するかもしれない、逸材同士の初顔合わせで勝ちきった。勢いのある相手を破り、大関昇進への勢いを加速させ、横綱、大関が待ち構える終盤戦へと向かう。

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