大相撲九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の新番付が27日、発表され、新関脇に昇進した安青錦(21=安治川)が、福岡・久留米市の部屋で会見した。新入幕の春場所から、4場所全て11勝という安定感。年6場所制の1958年(昭33)以降では単独で史上最速となる、初土俵から所要13場所での新関脇(付け出しを除く)となった。会見では関脇昇進について「素直にうれしい。強い人しか上がれないところ」と、会見に同席した師匠の安治川親方(元関脇安美錦)の最高位に並んだ喜びをかみしめた。
新三役の小結だった先場所と同様、平幕よりも一回り大きくなった、番付のしこ名を見ると、むしろ気持ちを高ぶらせた。「うれしいですけど、もっと大きい文字はある。そこを目指していきたい」と、新三役会見だった先場所前と同様、大関昇進への強い思いを隠さなかった。
初土俵から所要13場所での新関脇昇進は、従来の最速記録だった米国出身の小錦の所要14場所を、1場所更新した。さらに、序ノ口デビューから負け越し知らずで、新三役場所も勝ち越したのは、米国出身の元横綱曙に次いで2人目。大きな体を生かし、パワーで一時代を築いた2人とは対照的に、ウクライナ出身として初の三役力士となった安青錦は技巧派だ。
それだけに、この日の会見でも小錦、曙の記録に並んだり、追いついたりしたことを問われても「大先輩なので、自分は比べられるようなものじゃない」と、謙そんしつつ、自分は自分という姿勢を示した。スピード出世も「特に意識していない」ときっぱり。182センチ、140キロと、身長、体重ともに幕内力士としては平均以下の小柄な部類ながら、横綱豊昇龍には2戦2勝など、毎場所のように優勝争いに絡んでいる。
先場所は、大関昇進目安の「三役で3場所33勝」に向け、2桁白星を挙げて起点をつくった。ロンドン公演から戻ったばかりで、まずは体づくりから着手することになるが「おいしいものだらけなので、九州が1番、体重を増やしやすい。場所前に増えたらいいな」と、増量で圧力も身に着けたい考え。「若い衆の時はラーメンを7杯食べた」と、替え玉の注文を繰り返した逸話も披露した。
さらに今年からは、部屋宿舎や稽古場を提供されている福岡県の水天宮を通じて、地元企業や後援者らから約1000万円もの寄付が集まり、新設された建物内に設置された立派な稽古場で、稽古できる環境も整った。昨年までは屋外土俵で、大雨や寒波など天候の影響を強く受けていたが、全天候型の頼もしいバックアップを受け、初優勝、さらには大関昇進へのこの上ない後押しとなる。
そんな九州場所を支えてもらっている、水天宮関係者との、まな弟子のスピード出世を物語るエピソードを、安治川親方が明かした。「去年、九州から帰る時に『来年は小結で帰ってくる』と言っていたんですけど、今年は『すみません』と言いました。『関脇で帰ってきました』ということで」と、笑って話した。昨年の九州場所は新十両として臨んでいたが、師匠も想定を上回るほどの順調な出世だったようだ。
「三役に上がってから、大関という番付をずっと目標にして稽古してきた。今も自分自身は満足していない。上の番付を目指してやっていきたい。11番以上、勝てるように頑張りたい。いつも15勝を目指しているので、12勝でも満足しないと思う」。力強く話した安青錦が、まずは壁となっている12勝、さらには初優勝を目指していく。

