桂文枝(76)が大会統括を務める「第11回社会人落語日本一決定戦」の決勝が29日、大阪・池田市で行われ、参遊亭遊若(本名・若田部真紀)さん(46)が11代目名人に輝いた。

遊若さんは埼玉の会社でデザイン室長として働いている女性。三遊亭遊三の実践古典落語教室に入会し、落語を始めて10年目。決勝には一昨年も進出していた。

ロックバンドQueenの「We Will Rock You」で観客に手拍子を促し、演目「たがや」をアレンジし、会場を盛り上げた。「『あの曲だ』ってすぐ分かるものを取り入れた。歌で盛り上がったのは狙い通りです」と振り返った。

表彰式では、文枝は「私の中では1位ではなかった。うますぎてひっかかりがない。2位と1位は入れ替わっていた。でも本当は2位というのはあなたの落語をもう一度聞きたかったから。優勝したら出られないから」と称賛した。

遊若さんは賞金50万円を文枝から受け取った。「少しでもうまくなって喜んでいただけるように使います。一発屋と思われないように、自分のスキルアップのために」と賞金の使い道を語った。

入賞者4人のうち、遊若さんを含め、3人が女性だった。文枝は「女性は稽古熱心ということもありますけど、女性のキャラが際だってきた。上方落語協会の落語家にも聞いてほしい。いかにみんなが勉強していないか」と笑わせた。

文枝とともに審査員を務めた桂小文枝(68)は「やるたびにレベルが上がっていく。他の人も10点、20点離れていない。決めにくかった」と混戦だったことを明かした。

今大会は、北海道から沖縄まで全国から345人の応募があり、1次審査を通過した179人が28日に予選会に出場。その中から10人のファイナリストを選び、29日に決勝が行われていた。