今月13日、宝塚歌劇団星組トップ紅(くれない)ゆずるが、東京宝塚劇場の退団公演の千秋楽をもって、17年間在籍した宝塚を退団した。

もともと熱心な宝塚ファンだったという紅。さよならショーでの「1度きりの人生、心が震えるほど愛する場所で過ごすことができた私は幸せ者です」という言葉が印象的だった。得意な川柳で今の気持ちを聞かれ「宝塚 ああ宝塚 宝塚」と答えて笑わせ、宝塚愛を十二分に示してくれた。

宝塚音楽学校入学時は、上位成績ではなかったそうだが、努力を重ねてトップへたどり着いた。好きな場所で努力できることが、ものすごく幸運なことだということも常に感じていたという。

会見で紅は「なりたいと思った職業になれている。そんな人がどれほどいるだろう。宝塚に入るのは狭き門。落ちた人の分まで、入った人が頑張らないといけない。それは組のみんなにも常に言ってきました」と言っていた。

千秋楽の前日、前楽と呼ばれる公演が台風19号で中止になった。紅は「舞台に立てることが当たり前ではないことをみんなも自覚したと思う。貴重な時間で笑顔になってもらうことが私たちにできること」と語った。

当たり前でない今、を分かっていることは強い。今後の活躍に注目してみたい。