宝塚歌劇団の専科スター凪七瑠海(なぎな・るうみ)が12日、兵庫・宝塚バウホールで、雪組選抜メンバーを従えたコンサート「ロマンチック・ステージ『パッション・ダムール-愛の夢-』」の初日を迎えた。

男役の美学を追求する演出の第一人者、岡田敬二氏の「ロマンチック・レビュー」シリーズから“粋”を集めたコンサート。凪七は「これぞ宝塚! という男役の魅力をお見せしたい」と意気込んで、公演の幕を開けた。

凪七は03年、前花組トップ明日海りおらと同期の89期生として首席入団。研18(18年目)を迎えても「何年たっても(男役は)学ぶ(学び終える)ことはできません」とも言い、求道の最中にある。

研7だった若手時代、男役ながら「エリザベート」のタイトルロール・ヒロインを演じた異色キャリアも持ち、岡田氏は「娘役の場面も」と考えたそうだが、凪七は「男役に徹してみたい」と望んだという。

プロローグは吉崎憲治氏の新作テーマ曲で踊り、歌い、全編で岡田氏作品から「男役の美学」を追求。「ネオ・ダンディズム! -男の美学-」場面ではアルゼンチンのガウチョ・スタイルで、「Amour それは…」では娘役に囲まれた王子様に、「ル・ポァゾン 愛の媚薬」ではセクシーな振りを披露。多彩な男役の顔を見せた凪七は「8変化、いたしております」とアピールしている。

劇団は、新型コロナウイルスの影響で今春以降、戦後初の長期休止も経験。感染対策を続けながら上演を継続しており、凪七は、前日11日に行われた通し稽古を終えると「世の中がまだまだ不安定の中、ありがとうございます」と感謝の思いも吐露した。

公演には若手スター縣千ら、雪組選抜16人が出演。通し稽古の際には、客席に同期の雪組トップ望海風斗らの姿もあり、凪七は「このメンバーそろって、初日から愛のパワーをお届けしたい」と約束した。

コロナ禍で新たな挑戦を続ける劇団、仲間を思い「あらためて宝塚はいい所だと実感しました。伝統芸能を受け継いでいかなければ。100年(を過ぎて)から、200年、300年と受け継いでいきます」との誓いも口にしていた。

宝塚バウホール公演は25日まで。