NHK(大阪拠点放送局)は27日、来秋スタートの22年度後期連続テレビ小説「舞いあがれ!」を発表した。通算107作目の朝ドラは、空とパイロットにあこがれ、夢を追うヒロインを描く。逆風にもめげず空へ向かうヒロインが、コロナ禍と、まつわる閉塞(へいそく)感を打破してくれそうだ。ヒロインはオーディションを経て決定。年内に出演者の発表予定で、来春に舞台の大阪府東大阪市、長崎・五島列島などで収録をスタートさせる。

今作のヒロイン・舞は東大阪で町工場を営む父を持ち、五島列島に祖母を訪ねて空へあこがれを抱く。同局によると、モデルはおらず、オリジナル作。脚本の桑原亮子さんは昨年、NHK土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」で初めて連ドラを手がけた新進作家。職業柄、空を見上げることで元気になるという飛行士の話を聞き、着想した。

今作、制作統括の熊野律時(のりとき、47)チーフ・プロデューサー(CP)は、コロナ禍、災害が続く現代社会に「空を飛ぶには向かい風が必要。人生の逆風を受けながら、高く飛ぼうとするイメージがぱっと浮かびました」と言い、桑原さんと協議を重ねた。

現在放送中の「おかえりモネ」は104作目、11月1日開始予定の「カムカムエヴリバディ」が105作目。その次が来春スタートの106作目「ちむどんどん」で、今作はその次になる。過密日程への配慮から毎年、制作計画は前倒しとなってきたが、コロナ禍でさらに加速している。

熊野CPは「つらいこと、たいへんなことはあるけれど、空を見上げて夢を抱き続けるヒロインの姿を通して、毎朝明るい気持ちになれるドラマにしたい」。タイトルには「ヒロインが、どんな向かい風も全身で受け止めて、さらに高く舞いあがるイメージを込めました」と説明している。

◆舞いあがれ! ヒロイン舞は「物づくりの町」東大阪で町工場を営む父浩太と母めぐみ、兄・悠人と暮らしていた。長崎の五島列島にいる祖母祥子を訪ね、広い空に舞いあがる「ばらもん凧」に魅了されて、空へのあこがれをふくらませる。そして、その夢は「パイロットになる」ことに変化。ただし、その後は厳しい現実と向き合いつつも、空へのあこがれは抱き続け、仲間とともに飛行機作りへも情熱を燃やす。