映画の未来を開く新しい才能に贈られる、ぴあフィルムフェスティバル(Pff)の「第4回大島渚賞」の授賞式が14日、都内で行われ、映画「やまぶき」の山崎樹一郎監督が表彰された。記念トロフィーと副賞100万円が贈られた。

山崎監督は岡山県真庭市の山間で農業を営みながら映画製作を続けている。「やまぶき」は長編第3作。日の当たりづらい場所にしか咲かないやまぶきをモチーフに、資本主義と家父長制社ひ潜む悲劇と、その先の希望を描いた群像劇。カンヌ映画祭のACID部門に日本映画として初めて選出された。

山崎監督は「生々しく、深く重たい賞を受賞し、翻弄(ほんろう)されましたが、急がず、ゆっくりと映画に向き合っていこうと、自分を落ち着かせています。娘とパートナーがいたことで、視点を持ち、映画を作ることができました」と話した。

大島監督の次男でドキュメンタリー監督、大島プロダクション代表の大島新氏は「『やまぶき』を見て、これほどこの賞にふさわしい作品はないと思いました。野心的な試みに胸を打たれました。傑作です」と語り、大島監督が愛した万年筆を記念品として手渡した。