史上最も偉大なロックンロールの女王ティナ・ターナーさんが24日、スイス・チューリヒ近郊のキュスナハトにある自宅で死去したことが分かった。83歳だった。死因は明らかにされていない。親族や親しい友人らのみでの密葬を行う予定だという。

ターナーさんの代理人によると、半世紀以上にわたるキャリアで12度のグラミー賞に輝いたターナーさんは近年多くの病気に苦しみ、長年闘病生活を送っていたという。声明では、「世界は音楽界のレジェンドとロールモデルを失うことになる」とつづっている。バイデン米大統領は、「米国の音楽を永遠に変えた」と功績をたたえ、代表曲の歌詞を引用して「シンプルに最高」と述べて追悼の意を表し、遺族やターナーさんの死を悼む世界中のファンに愛と祈りをささげるとコメントした。

ターナーさんは、2013年10月に脳卒中で倒れ、16年には腸がんと診断されたほか、高血圧や腎不全、音楽パートナーでもあった元夫アイク・ターナーさんから受けた暴力による心的外傷後ストレス障害(PTSD)などいくつかの健康問題を抱えていることを公表していた。17年には夫のアーウィン・バッグ氏がドナーとなって腎臓移植も受けていたという。

英サン紙によると、ターナーさんが最後に公の場に姿を見せたのは19年11月で、ニューヨークで行われたターナーさんの生涯を描いたブロードウェーミュージカルの開幕に出席した時だったという。レッドカーペットではバッグ氏と人気司会者オプラ・ウィンフリーに支えられるように歩き、会場ではほとんどの間座ったままの状態で、歩行が困難な状況が見られたという。

訃報を受け、多くのアーティスト仲間やオバマ前大統領ら著名人からも追悼のメッセージが寄せられている。英ロックバンド、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは、「素晴らしい友人、ティナ・ターナーが亡くなり、とても悲しい。彼女は本当に素晴らしい才能に満ちたパフォーマーで、シンガーだった」とツイートし、「彼女のことを決して忘れない」と悼んだ。米歌手マライア・キャリーは、「伝説的、象徴的、歌姫、そしてスーパースターという言葉は使われ過ぎているけどその全てを体現し、それ以上。素晴らしいパフォーマーで、ミュージシャンで、先駆者だった」とツイートし、哀悼した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)