河合優実(23)が30日、都内の共立女子大で行われた主演映画「あんのこと」(入江悠監督、6月7日公開)のトークイベントに出席した。質疑応答の中で「『不適切にもほどがある!』が大好きで、河合さんと会えてうれしい」と、話題を呼んだ1月期TBS系ドラマのファンの学生から声をかけられると、河合は笑顔で頭を下げた。

「あんのこと」は、20年6月に新聞に掲載された少女の壮絶な人生をつづった記事に着想を得て、入江悠監督(44)が実話を元に脚本を手がけた。河合は劇中で、母親から売春を強いられ、薬物に手を染めるなどした底辺から抜け出そうともがく少女・杏を演じた。杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗(55)、多々羅が運営する更生施設を取材するジャーナリスト桐野を稲垣吾郎(50)が、それぞれ演じた。

河合と入江監督に、主人公の杏の役どころについて「1人がモデルなのか、複数の経験を集めて作ったのか?」と質問が出た。入江監督は「この記事を書かれた記者が追っていたのは、別の街で見つけた女の子。僕らはお会い出来なかったけれど、記者に彼女の人となりを聞いて脚本を作った。河合さんは、その後、役作りでいろいろなものを参考にしたと思いますけど?」と河合に話を振った。

河合は「ある1つの新聞記事の、特定の女性からから明らかに役を作っている。でも、要素やエピソードは脚本で肉付けされていますし、そういう意味では同じ状況にある人の集合体でもある。撮影を進めていく中で、実在した方がいることが自分の中で、とても大きなことで、まずその人に対して敬意を払うこと、近づくことをやっていた」と説明。その上で「モデルの方より、新しい杏のキャラクターを作っていくことが重要だなという方向性に、監督を含めて現場がなっていった感じ」と、実在の人物に寄せていく過程を乗り越えて、映画の中のキャラクターを作ることに注力したと明かした。

河合は、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)に併設して開催された、フランス監督協会主催の独立部門・監督週間に主演映画「ナミビアの砂漠」(今夏公開)が出品され、カンヌに渡航した。この日が帰国後、初のイベント参加だった。同作は国際映画批評家連盟賞を受賞しており、河合は「1週間前に帰ってきたばかりです。自分にとって大きな経験になると思いますし、観客の皆さんがフランクで、ここはどうとか伝えてくださるのは豊かだった」と振り返った。

河合は「舞台あいさつに登壇する機会は多々、あるんですけど、学生の皆さんと直接、お話しできる機会は本当に貴重。真剣に映画を見てくれて、本当に良かった。こういう機会が増えたら良いと思う」と真剣に映画を見て、質疑応答に臨んだ学生たちに感謝した。

◆「あんのこと」21歳の杏(河合優実)は、幼い頃から母親に暴力を振るわれ、10代半ばから売春を強いられて、過酷な人生を送ってきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は変わった刑事・多々羅(佐藤二朗)と出会う。大人を信用したことのない杏だが、何の見返りも求めず就職を支援し、ありのままを受け入れてくれる多々羅に次第に心を開いていく。一方、週刊誌記者の桐野(稲垣吾郎)は「多々羅が薬物更生者の自助グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いている」というリークを得て、慎重に取材を進めていた。ちょうどその頃、新型コロナウイルスの感染が拡大し、杏がやっと手にした居場所や人とのつながりは、あっという間に失われてしまう。行く手を閉ざされ、孤立して苦しむ杏はある朝、身を寄せていたシェルターの隣人から思いがけない頼みごとをされる。