先日、東海テレビ(名古屋)でニュースの放送中、斎藤健法相が緊急記者会見。名古屋刑務所で刑務官が受刑者に暴行、けがを負わせていたことを明らかにした。

法相が「あれほどの事件があった同じ施設で」と怒りをあらわにしたように、名古屋刑務所は2001年、刑務官が受刑者の尻に消防ホースで放水、拷問死させる大事件を起こしていた。今回は22人もの刑務官が昨年11月から今年8月まで受刑者3人を執拗(しつよう)に暴行。うち1人が目に裂傷を負った。

その3日後、愛知県警岡崎署で勾留中の精神疾患のある男性を持病の薬も与えず100時間を超えて手錠、捕縄で拘束。その間、署員が殴る蹴るの暴行の末、死亡させていたことがわかった。

同じ愛知県の名古屋出入国在留管理局では去年3月、激しく嘔吐(おうと)して治療を求めるスリランカ女性を個室に閉じ込め、衰弱死させた。

一体、この国でこうした公職に就いている人たちにいま、何が起きているのか。

そういえば少し前、元首相の疑惑隠しのため文書を改ざんさせた部下が耐え切れず自死した事件で、裁判所は指示した高級官僚について「組織の一員である公務員は個人の責任を問われない」として元部下の遺族が起こした訴えを退けた。

こうして高級官僚は自死するまで部下を足蹴(あしげ)にし、ならば足蹴にする部下もいない下積みの公務員はどうするか。刑務官は22人が10カ月もの間、3人の受刑者に暴行。警官は手足を縛り上げた男性を4日間も殴って蹴る。入管職員は衰弱しきった女性を見殺しにする。

背筋が凍りついてくるのは、ここ数日の厳しい冷え込みのせいばかりではないようだ。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。