死者107人を出したJR福知山線事故は4月25日、発生から20年となった。事故直後からJR西日本の懲罰的な「日勤教育」や営利主義を厳しく追及してきたJR西労の追悼集会に今回も招かれ、講演してきた。

会の名称は、この間の思いを詰め込んで「事故から20年の闘いの成果と教訓を確認し、不安全な企業体質を一新する集会」と、まことに長いもの。労組によると、コロナ禍の赤字決算を経て事故直後の安全第一は吹っ飛んで、またぞろ営利優先になっているという。

言われてみれば、ささいなことだが週に2回は新幹線を利用する私も、この大型連休の間、気になることがあった。今年3月、のぞみ号の自由席を3両から2両に減らし、その上、連休中はお盆や年末年始と同様、ホームの混雑を避けるといった理由で、それもなくして全席指定席にした。

とはいえ指定券なしでものぞみに乗せないわけではない。車内放送で繰り返し「7号車、11号車のデッキをご利用ください」。つまり乗ってもいいけど、立つか、かがんで行けという。

東京駅や新大阪駅到着直前に「大きく揺れることがあります。お立ちの方は安全のため座席の背もたれなどにおつかまりください」と車内アナウンスが流れる。ならばデッキの人の安全は一体、どうなるのだ。

労組の方によると、いまJRの一部の社では、安全のため乗務時間を厳格に決められている運転士を一般職と同じにして、駅の乗客整理や案内係にしようとする流れになっているという。

そういえば先日、安全業務もになう格安航空会社の客室乗務員が、次の目的地に飛ぶまでの間、機内清掃までさせられて休憩時間がないと訴えた裁判で会社に改善が命じられたばかりだ。

福知山線事故20年の今年は、死者520人を出した日航ジャンボ機墜落事故から40年。あまたの犠牲者は、そのたびに誓い合ったこの国の安全をいま、どんな思いで見つめているだろうか。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「ニュース ONE」などに出演中。