★陸上自衛隊が大学教授やNPO法人代表ら日本人有識者を対象に「愛国心」や「対自衛隊感情」といった思想信条、個人情報などを調査・収集。数千人分を報告書にまとめていたと「熊本日日新聞」がスクープし、「沖縄タイムズ」も独自に中央情報隊に所属し、対外国の情報部門「現地情報隊」がまとめた「個人BSD(ベーシック・ソース・データ)報告書」を入手し、元隊員の証言を得たという。この「陸上自衛隊による思想調査」について防衛相・小泉進次郎は「必要な情報は報告されており、現時点で現地情報隊の不適切な活動は確認されていない」と述べた。しかし憲法19条が定める「思想および良心の自由」、13条に続く人格権・プライバシー権の侵害は不適切どころか憲法違反に他ならない。

★防衛相はとぼけているか、知らされていないかだろうが言われたことをもっともらしく言う政治家としては上手に陸自をかばったつもりだろうか。ネットメディアJBpressは取材班を率いた熊本日日新聞記者・植木泰士のインタビューをしているが「『情報収集が日本の安全保障に役に立つか』『インテリジェンスに欠かせない』といった見地ではなく、『そもそも国家機関は、国民の思想信条やプライバシーを調べてよいのか』でなければなりません。憲法に反するという点もそうですが、現場に罪悪感がない」。

★「情報収集を行っていたのは、陸上自衛隊中央情報隊の対外情報部門『現地情報隊』で、設立は2007年です。当初の目的は陸自が海外で活動する事態を想定し、現地の情報を集めることでした。人から情報を得る『ヒューミント』です。ところが、年月を経るうちに、部隊の性質は変容したようなのです。情報収集の対象が国内に向くようになり、結果的にBSDという内部の報告書を埋めること自体が目的にすり替わっていきます。悪意のないまま集められた思想信条などに関する個人情報は、やがて別の情報機関などに集約されていく可能性があります。それを考えなければいけません。最初に情報を集めた隊員とは違う人間が、その情報を扱う。そこには『愛国心』のような情報が入っているわけです。それがその人に対するレッテルになり、別の目的に使われていく恐れが十二分にあると思います」。取材から見えてくる「何気ない情報」を集める怖さを知る。(K)※敬称略