オペラ歌手で能楽師、実業家などとして幅広い活躍をしている深見東州氏(64)が、3日間で2度のワンマンショーを行った。同氏はオペラをはじめロック、ジャズ、演歌、アニメなど、ジャンルを問わないマルチシンガー。4月8日は「グループサウンズ&フォークの一人祭典 !!」、10日には「全部オリジナル曲コンサート !!」を東京・台場のZeppダイバーシティ東京で実施した。両日合わせて歌ったのは、何と58曲。まさに“人間ジュークボックス”と化して熱唱した。

グループサウンズ&フォークの一人祭典

 いきなり昔懐かしいミリタリールックで舞台に登場した。黒の上着、肩飾り、胸の勲章が光る。バックバンドも赤の同様の衣装。深見氏が学生時代を過ごした60年代後半から70年代は、グループサウンズ(以後はGSと表記)とフォーク全盛時代。それだけに思い入れも強い。

 オープニング曲はオックスの「スワンの涙」。当時のGSファンは熱狂的で、ボーカルが興奮のあまり舞台上で倒れ込むと、それを見たファンが次々と失神。病院に担ぎ込まれた。深見氏は、「好きさ好きさ好きさ」「長い髪の少女」では、当時の振りをマネして場内を盛り上げた。年配の来場者はリズムに合わせて腕を振ったり、ステップを踏んだり。「みなさん立ちましょう」の声には、若い人たちに負けじと体をゆすった。

 ザ・スパイダースのコーナーの後は、ザ・タイガースの2曲。阪神タイガース好きの深見氏だけに「グループ名は球団名からとった」と知識を披露。「シーサイド・バウンド」「君だけに愛を」をノリノリで歌った。また沢田研二が「君だけに-」を歌うとき、ファンを指さしたのをまねて、四方八方に指をさしまくった。それでも、さし残しがあったようで、再度歌ってサービスした。

 GS14曲の後はフォークソングに。深見氏にとって思い出深いのが「小さなスナック」と「学生街の喫茶店」で、「喫茶店やスナックは、当時の自分にとって大人の世界を想像させる響きでした」と述懐した。また「旅の宿」の歌詞について、「こんなことをしている同世代の若者がいるんだと、うらやましく思ったものです」。

 26曲を一気に歌い終えた後は、アンコールを4曲。2曲目の「神田川」は、恩師の先生から「小さなせっけんカタカタ鳴って、などと小市民的な歌を歌うのは止めなさいと言われ、今まで封印していました。GSとフォークのコンサートを企画し、歌うことができて良かった」と笑顔を見せた。

◆グループサウンズ&フォークの一人祭典 曲順◆
1.スワンの涙 2.好きさ好きさ好きさ 3.長井紙の少女 4.ケメ子の唄 5.君にあいたい 6.夕日が泣いている 7.バンバンバン 8.シーサイド・バウンド 9.君だけに愛を 10.エメラルドの伝説 11.ブルーシャトウ 12.たどりついたらいつも雨ふり 13.旅人よ 14.雨のバラード 15.あの素晴らしい愛をもう一度 16.白いブランコ 17.風 18.学生街の喫茶店 19.小さなスナック 20.この広い野原いっぱい 21.旅の宿 22.青葉城恋唄 23.花嫁 24.翼をください
◆アンコール◆ 1. 少年時代 2. 神田川 3. 贈る言葉 4. シーサイド・バウンド

全曲オリジナルコンサート!!

グループサウンズとフォーク全30曲を熱唱した深見東州氏
グループサウンズとフォーク全30曲を熱唱した深見東州氏

 深見氏はボーダーレス歌手であると同時に、シンガー・ソングライターでもある。これまでに100曲以上を作り、他の歌手に楽曲を提供したことも。過去のコンサートや劇団公演では、小出しに披露しているが、全部オリジナル曲コンサートというのは初めて。前々日に30曲を歌いまくったが、この日も絶好調。やはり勝手がわかったオリジナル曲ということもあるのか、リラックスしていた。

 金ぴかのハーフコートをまとって登場。1曲目は何と仏様をテーマにした「Power Light」。風船が天井から落ちてきて「仏様が天から降りてきたイメージです」と盛り上げた。2曲目との合間には、ステージ上で赤のミリタリールックに着替えた。

 深見氏の曲はバラエティーに富んでいる。仏様の歌や、ローマ法王に謁見(えっけん)した際に歌った聖母マリアの曲。龍神や鹿島の神の出現を待つ歌もある。また世界中を駆け巡る同氏らしく、国際色豊か。アルゼンチン訪問後に作った「ブエノスアイレスで去った君に」「ラプラタ川に寄せる」は、その情景が浮かんでくる。特に「ラプラタ川-」は、タンゴ発祥の地を200メートルほど散歩する前に、突然イントロが浮かんだという。足をさらに、南極まで延ばし「南極」というスケールの大きな曲も作っている。

 福島・磐梯山のふもとで制作した「シンドバッド」「雨やどり」、釧路湿原で見かけた光景を題材にした「走れ北ギツネ」、学生時代にウサ晴らしに行った鴨川べりを歌った「はるかぜ」なども。高校(鳴尾高)時代のちょっぴり甘酸っぱい思い出の曲「片思いのオトメ」は、内田有紀似のマドンナがモデル。陸上競技部の選手で、色黒で足が細く印象的だったという。恋する自分を乙女に、彼女を走る王子様に置き換えて作ったという秘話も。

 ほかに演歌、ロック、タンゴ風の曲も熱唱。アンコールも入れて28曲、3時間30分を超すステージは終了した。

◆全曲オリジナルコンサート!! 曲順◆
1.Power Light 2.シンドバッド 3.メスの狼 4.熟しきれない私 5.I lost my love 6.You are my Lover 7.アンドロメダ王子 8.縁結び 9.雨やどり 10.仙台の女性 11.ブエノスアイレスで去った君に 12.ラプラタ川に寄せる 13.南極 14.朝がきたら 15.甘酸っぱい恋 16.片思いのオトメ 17.お前の瞳に 18.ジダンダ 19.マリアと共に 20.走れ北ギツネ 21.はるかぜ 22.いでよ!鹿嶋の神 23.龍神21世紀 24.メタボの雀 25.バンペイユ
◆アンコール◆ 1.守護霊Come to me 2.永遠(とわ)の旅人 3.ガットマン

<深見氏プロフィル>
 ◆深見東州(ふかみ・とうしゅう)本名・半田晴久。1951年(昭26)3月18日、兵庫県西宮市生まれ。同志社大、武蔵野音大特修科声楽専攻科卒。専門のオペラをはじめ、世界的なアーティストとの共演も多い。2013年9月には、グラミー賞最優秀歌唱賞を受賞しているマイケル・ボルトン、ピーター・セテラと「世界の友人コンサートツアー日本武道館」を開催。14年6月には米国を代表する女性オペラ歌手のルネ・フレミングと「東京国際コンサート」で共演。同年10月には世界的ロッカー、ボビー・キンボール、ミッキー・トーマスらと「進撃の阪神巨人ロックコンサート」を行っている。また日本人男性としては2人目の世界3大ホール制覇も果たしている。