静岡県の川勝平太知事(75)は10日、中沢公彦県議会議長に辞職願を提出した。県選挙管理委員会によると、辞職の申し出から30日後の5月10日に失職する。知事選は5月9日告示、同26日投開票となる公算が大きい。開業が遅れることになったリニア中央新幹線への対応などが焦点となりそうだ。

川勝氏は今月1日の県の新規採用職員に向けた訓示で、職業差別とも捉えられかねない発言をした。県庁に抗議が殺到し、発言を撤回、謝罪した。議長室での辞職願提出後、川勝氏は報道陣に囲まれたが、足早に知事室へ入った。10日午後、記者会見する予定。

中沢議長は、報道陣に「政治家として発言すべきでないことを発言したのは致命的だった。批判を受けて速やかに退場すべきと判断されたんだと思う」と語った。

知事選には元総務省官僚で、同県副知事を務めた経験もある大村慎一氏(60)が8日に無所属での出馬を表明。前浜松市長の鈴木康友氏(66)も出馬を検討している。

1日の訓示で川勝氏は「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、ものをつくったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性が高い人たち」と発言。2日、6月議会で辞職する意向を表明したが、県議会の自民、公明両党会派は早期の辞職を求めていた。

川勝氏は早大教授や静岡文化芸術大学長を経て、2009年に初当選し、現在4期目。環境への影響に対する懸念を理由にリニア中央新幹線の静岡工区の着工を認めず、JR東海は先月29日、品川-名古屋間の27年開業を断念する方針を明らかにした。(共同)