岸田文雄首相は米ワシントンで10日開かれた日米首脳の共同記者会見で、日本製鉄によるUSスチール買収に関し「両国にとって良い話し合いになることを期待している」と述べ、米側に理解を求めた。バイデン大統領は労働者保護を理由に買収に反対する考えを示した3月の声明を前提に「労働者との約束を守る」と話した。

岸田氏は「日本は米国にとって最大の投資国であり、米国で約100万人を雇用している」と米経済への貢献を強調。「今後も両国にとってウィンウィンな流れを確実なものにしていきたい」と語った。

バイデン氏は「同盟国との約束を守る」とも述べ、日本側に一定の配慮を示した。

USスチールが本社を置く米ペンシルベニア州は11月の大統領選の勝敗を左右する「激戦州」の一つ。労組票の取り込みが鍵を握るとみられ、全米鉄鋼労働組合(USW)が買収に反対し政治問題化している。バイデン氏と再び対決する見通しのトランプ前大統領も買収を「即座に阻止する」と発言している。(共同)