17日午後11時14分ごろ、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱の地震があった。中部地方から九州にかけて震度5強から1を観測した。気象庁によると、震源地は豊後水道で、震源の深さは39キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6・6と推定される。津波はなかった。南海トラフ巨大地震の想定震源域だが、気象庁は「この地震によって直接、南海トラフ巨大地震の可能性が高まったとは言えない」との見解を示した。ただ、今後同程度の地震が起きる恐れがあるとして警戒を呼びかけた。

四国で震度6弱を観測したのは現在の震度階級になった1996年10月以降初めて。愛媛県で7人、高知県で1人が軽傷。大分県では、大分市の70代女性と津久見市の80代男性が転倒するなどし軽傷を負い、けが人は計10人となった。

高知県檮原町の松谷地区は、倒木により一時孤立状態となったが、18日午前に解消。同県宿毛市では最大11世帯23人が一時避難所に身を寄せた。

愛媛県大洲市の国道197号は落石のため一部通行止めに。大洲市や宿毛市などでは水道管破裂や漏水が発生。国土交通省によると両県で最大35戸が断水した。愛媛県愛南町では、石垣の景観が有名な外泊地区の集落「石垣の里」で石垣の崩落を7カ所確認した。

文部科学省によると、愛媛、高知両県の小中学校や高校など計約30校で窓ガラスの破損など被害を確認。15校が臨時休校した。政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置した。

気象庁によると、南海トラフ巨大地震がプレートの境界で発生するのに対し、今回はフィリピン海プレート内部で発生しており、メカニズムが異なる。震源も巨大地震が発生するプレート境界より約10キロ深かった。

四国電力は、愛媛県の伊方原発3号機について、蒸気から取り除いた水分を集めるタンクで、水位を制御する系統に不具合があったと発表した。地震の影響とみられる。発電機の出力が約2%低下しているが、運転に影響はないという。原子力規制委員会も安全上の問題はないとしている。

JR四国は18日始発から予讃線の一部と予土線で運転を見合わせたが、19日始発から全線再開の見込み。高知県の浜田省司知事は、人的被害の少なさや復旧作業の順調さを挙げ「最悪の状況は免れている」と説明した。(共同)