太平洋戦争末期の沖縄戦の混乱で国外に持ち出され、米国内で発見、返還された歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」などの文化財を巡り、沖縄県は30日、このうち18点を関係者に公開するお披露目式を那覇市で開いた。日米政府関係者ら約30人が招かれ、玉城デニー知事は「文化財が約80年ぶりに故郷・沖縄に戻り、県民にとって大きな喜びだ」とあいさつした。

御後絵は15世紀半ばから明治時代初期まで19代続いた琉球王朝・第二尚氏の歴代国王の肖像画で、王の死後描かれた。

県によると、2001年に米連邦捜査局(FBI)に捜査協力を要請。米ボストン近郊の住宅で3分割された状態の御後絵や八重山諸島の地図、陶磁器など計20点が発見され、今年3月に沖縄県に返還された。御後絵の現存が確認されたのは今回が初めて。

発見された20点の文化財のうち御後絵は4点。このうち2点は第13代尚敬王(しょうけいおう)と第18代尚育王(しょういくおう)のものと確認され、別の1点は第4代尚清王(しょうせいおう)の可能性が高いという。一部は損傷が激しいことから、県は近く有識者会議を設置し、使用された顔料の分析や、修復方法の検討を進める。(共同)