海賊版サイト「漫画村」(閉鎖)で漫画を不正に公開されて被害を受けたとして、KADOKAWAと集英社、小学館の出版大手3社がサイトの元運営者に計約19億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、出版社側の出版権や独占的利用権が侵害されたと認め、計約17億円を支払うよう命じた。出版社側は海賊版サイト被害を巡る訴訟では過去最大の賠償額としている。

杉浦正樹裁判長は、サイト利用者が閲覧した画像を自身の端末に保存することも可能などとして「実質的に電子配信された作品を購入したのと変わらない状態が実現していた」と指摘。作品1巻当たりの平均閲覧数や、作品の販売価格を基に損害額を算定した。

集英社編集総務部参与の伊東敦さんは東京都内で記者会見し「漫画村の裁判を通じ、国内に運営者がいる日本人向けの海賊版サイトはほぼなくなった」と語り、海外でも同様の訴訟を検討する考えを示した。元運営者の星野路実氏(32)は都内で取材に応じ「納得できない。漫画村について一切後悔はありません」と話した。

判決などによると、漫画村は国内最大の海賊版サイトで、遅くとも2016年2月ごろに開設。18年4月に閉鎖されるまで、約5億3700万件のアクセスがあったとされる。

出版社側は「ケロロ軍曹」「キングダム」など3社が刊行している人気の高い17作品について被害額を算出し、小学館は約10億円、KADOKAWAと集英社はそれぞれ約4億円の損害が生じたと主張していた。

出版社が作家や漫画家と契約して作品を独占的に発行できる「出版権」は、改正著作権法の施行で15年から紙の書籍だけでなく電子書籍にも認められるようになった。

星野氏は漫画村を巡り、著作権法違反などの罪に問われ、懲役3年、罰金1千万円、追徴金約6200万円とした21年6月の福岡地裁判決が確定。服役後、同地裁に再審請求している。(共同)