小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントを巡る健康被害の問題で、厚生労働省と国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)は19日、製品原料のサンプル分析の現状を説明し、既に判明している青カビ由来の「プベルル酸」の他に未想定の物質を複数検出したと明らかにした。関係者によると、新たな検出は少なくとも2物質。厚労省と国衛研が特定を進める。

厚労省によると、健康被害の情報があるのは昨年6~8月に製造された原料ロットが中心で、理化学検査機器を使って物質を検出。質量分析やデータベース検索を実施するほか、化学構造を調べて物質特定を進め、紅こうじ菌がつくる物質か、カビ由来か、混入した可能性はあるのか、といった発生原因を検証する。腎臓への影響も調べる。

新たな物質に関し厚労省は「(健康被害の)原因となり得る」とする一方、検出された数は明らかにせず、物質名や性質もまだ分からないとした。最終的な原因物質の特定までには一定の時間が必要との認識を示した。

健康被害の入院者について厚労省は、退院した人を含め18日時点で計240人になったと小林製薬から報告を受けた。医療機関を受診した人は計1434人、同社への相談件数は約8万8千件となった。

プベルル酸は当初、小林製薬の分析で検出された。人体への影響などが分かっていない物質のため、厚労省と国衛研が同社からサンプル提供を受け詳しく調べている。

一方、消費者庁は19日、機能性表示食品制度の在り方を巡る専門家検討会の初会合を開催。紅こうじサプリが機能性表示食品として販売されていたことを受けたもので、制度の信頼性を確保するためにどのような改善が必要か、検討会の意見を踏まえ、政府は5月末をめどに方向性を取りまとめる方針。(共同)