政府は26日、スマートフォンのアプリ市場で寡占状態にある巨大IT企業を規制するための新法案「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」を閣議決定した。アプリストアや決済システムの運営を競合他社に開放することを義務付ける。自由競争を促すことで一般の利用者にはアプリの価格低下や、選択肢の増加などの効果が期待できる。

新法案は、スマホを稼働させるために欠かせない基本ソフト(OS)やアプリストアの提供を巡って大きなシェアを握る米グーグルやアップルを念頭にしている。新規参入の事業者に対する差別的な扱いなどを防ぎ、違反行為には関連する国内売上高の20%分の課徴金を科す。

既存の独禁法は競争制限行為を「排除型私的独占」とし、課徴金は売上高6%分。新法案では3倍超となり、改善が見られない場合は30%まで引き上げることも可能とする。

自見英子内閣府特命担当相は閣議後の記者会見で「スマートフォンが国民生活や経済活動の基盤になる中で、セキュリティーの確保を図りつつ消費者の選択肢拡大を実現する」と強調した。

同様の規制を巡っては、欧州連合(EU)が3月に自社サービスの優遇を禁じるデジタル市場法(DMA)を全面適用して先行している。日本も欧州と足並みをそろえて巨大ITへの抑止力を強化する構えだ。(共同)