四国地方の天台宗の寺で14年間にわたり性暴力を受けたとして、50代の尼僧叡敦さん=法名=が60代の住職らの僧籍剥奪を求めている問題で、天台宗務庁(大津市)の担当者が7日、住職の寺を立ち入り調査したことが、叡敦さんの代理人弁護士への取材などで分かった。

取材に対し、住職は「天台宗から何も話さないように言われている」とコメントを避けた。天台宗務庁の担当者も応じなかった。

担当者は調査後、叡敦さんとも面会した。叡敦さんは取材に「(適切な実態把握がされたかどうか)第三者ではなく、内部の人間による調査なので疑問が残る」と話した。

代理人の佐藤倫子弁護士によると、現地調査への同席は断られたため、被害を受けた場所などを示した寺内部の図面を叡敦さんが作成し、天台宗側へ事前に送付したという。

叡敦さんは今年1月、都内で記者会見。2009年に親族の80代の大僧正から紹介され住み込み始めた寺で、住職から「逆らうと地獄に落ちる」などと脅され、日常的に性行為を強いられたと訴えた。

叡敦さんは、住職と、加害を手助けしたとして大僧正についても僧籍剥奪を求め、天台宗に懲戒審理申告書を提出。天台宗の担当者は3月にも、叡敦さんや住職から聞き取り調査した。(共同)