ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(71)が7日、大統領府があるモスクワのクレムリンで就任宣誓し、通算5期目に入った。任期は6年。2022年2月に開始したウクライナ侵攻に参加する兵士らに謝意を示し「共に勝利しよう」と述べ、作戦継続へ国民の結束を呼びかけた。

就任演説でプーチン氏は、ウクライナを支援し対ロ制裁を科す欧米との戦略的安定を含む対話は「互いの国益を尊重する対等なもの」でなければならないと述べ、欧米側の意思にかかっているとの姿勢を示した。

侵攻開始以来の約2年を振り返り「われわれは困難な時期を乗り切った」と自賛。非欧米諸国との協力で、長期的発展を目指す計画を実行していく決意を示した。

プーチン氏は20年の憲法改正で、今回を含め2期12年、36年まで大統領を務めることが制度上可能となった。00年の初当選以来24年も最高権力者の地位にあるプーチン氏は、計30年以上に及ぶ異例の長期政権を維持する可能性がある。

安全保障面ではロシア軍の定員を最大132万人に大きく増やし、核兵器を含む近代装備の充実や前線に必要な戦車、弾薬などの生産を強化。侵攻を非難し、ウクライナに軍事支援を続ける米国主導の北大西洋条約機構(NATO)に対抗する。

外交面では、対ロ制裁を拡大する欧米を「新植民地主義」と非難。同じく制裁を受ける中国や、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との関係を深化して主要財源の原油、天然ガスなど資源の輸出先を確保する。同時に中国やインド、イランなど非欧米諸国とつくる「BRICS」などを軸に国際的孤立を回避したい考えだ。

プーチン氏は今年3月の大統領選で、87%を超す史上最高の得票率で圧勝した。国民の圧倒的支持を得たと政権側が自賛する一方、侵攻反対を唱える元下院議員が中央選管から候補者登録を拒まれるなど、不公正さも指摘された。(共同)