伊藤匠叡王(王座=23)に2年連続で斎藤慎太郎八段(32)が挑戦して前期同様に双方2勝2敗で迎えた将棋の第11期叡王戦5番勝負最終第5局が5月31日、千葉県柏市で行われた。午前10時から始まった対局は、相掛かりからともに1分将棋となる接戦となった。午後7時24分、117手で先手の伊藤が斎藤を下して防衛し、叡王戦3連覇を達成した。斎藤のリベンジと初の叡王奪取はならなかった。

2連敗からの3連勝、将棋界の5番勝負で13例目の大逆転劇は幻と消えた。昨年に続いて、斎藤がまたしても最終局で涙をのんだ。「あまり考えてはいない将棋になった。結構難しい感じで進めていたが、(局面が)進むにつれてあまり自信がなくなっていった」。

2二のカベ銀、3筋に置かれた歩、7筋のキズが響いた。「少し悪い」と中盤で踏み込んだ。「辛抱する手も思い浮かばず、負け筋だろうと思いながら我慢できなかった感じでした。読みが甘かった」と語った。

今シリーズは連敗スタート。「ずっと厳しい中で打開策を見つけていこうと、前向きにはやっていった。本局はちょっとチャンスは少なかった。全体的に苦しい展開が続いていた」とした。

名人戦では21年第79期、22年第80期と連続して渡辺明名人(当時)にも挑戦した。この時はいずれも1勝4敗に終わった。叡王は2年連続フルセット。「結果は出なかったですけど、今後に生かせるようにしなければいけないなと思います」。また大舞台へと戻ってくることを期待したい。