豊洲市場の土壌汚染対策を検討する東京都の「専門家会議」が11日、築地市場内で行われ、大紛糾の中、安全対策の提言を取りまとめた。都は地下空間の対策工事をした場合、最長1年10カ月かかり、その間は豊洲への移転はできないとした。

 専門家会議は、地下水に含まれる有害物質が盛り土のない地下空間を通じて市場に入り込むのを防ぐため、床を補強する新たな安全対策の提言をまとめた。地下空間については(1)特殊シートとコンクリートで補強する案(2)コンクリートのみで補強する案が示された。ともに換気も行う。

 (1)では契約と工期で1年8カ月を要し、工事費と65年間の維持管理費の総費用が85億~95億円。(2)は8カ月で、同40億~50億円とした。都によると、豊洲市場を営業しながらの工事は想定していないため、対策工事を実施した場合、最大1年10カ月は移転できない。地下水管理システムの機能強化も対策案として盛り込まれた。汚染水の浄化を図る案で、工費は20億~25億円。

 豊洲市場の建物下には、地下の有害物質を遮る盛り土がないことが発覚。さらに地下水モニタリング調査で環境基準の最大100倍のベンゼンなどが検出され、専門家会議は対策を検討してきた。