2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(74)が10日、新国立競技場でサッカー競技を実施しない可能性があると明かした。立候補ファイルでは8月8日の日中に男子決勝、夜に陸上トラック競技、翌9日は男子マラソンと夜に閉会式を行う予定。閉会式リハーサルなどもあって会場の仕様転換が難しいのが理由だという。

 決勝戦が行えない場合には、準決勝、3位決定戦、1次リーグなどを実施できないか検討中だが、いずれも日程的には厳しい。武藤氏は「仮に決勝も予選(1次リーグ)も行わなければ、新国立がサッカー会場から落ちる」と説明した。

 この日、国際オリンピック委員会(IOC)理事会との電話会議に出席した武藤氏は、サッカーの追加会場としてカシマスタジアム(茨城県鹿嶋市)が了承されたことも明かした。内定している6会場と合わせて全7会場。組織委は新国立での試合の有無も含めて日程をまとめた上で、改めてIOCに全会場の承認を求めることになった。

 また、武藤氏は新国立の後利用について「秋に方向性を出す方向で検討しているとIOCに伝えた」と説明。現在は政府が検討中だが、収益性を高めるために球技専用への変更案が有力視されている。64年の決勝会場だった旧国立は、東京五輪のレガシーとして長く「サッカーの聖地」として親しまれた。再び「聖地」を目指す新国立にとっても、サッカー競技が非実施となれば影響がありそうだ。