楽しみにしていたのは横綱白鵬との対面。打ち出し後に対面した藤井は「第一声でかわいいねと言われました(笑い)。気さくに声をかけていただいて、うれしいです」とはにかんだ。「つたない字ですが…」と謙遜しながら「達心志」の揮毫(きごう)入りの扇子(非売品)をプレゼントした。

 白鵬の取組を間近で見て「激しい突っ張り合いの後に、にらみあうようなシーンが印象的でした。横綱の力の違いを感じました」と強い横綱への憧れを口にした。

 対局中の「勝負メシ」が注目されるが、この日は幕の内弁当だった。「おかず? いや~、…。おいしくいただきました」。リラックスして口にすることができたようだ。

 小学校の卒業文集には「30歳までに将棋界の横綱になりたい」と書いた。昨年2月に亡くなった祖父訓一さんが大相撲が大好きだった。祖父の影響を受け、時間のあるときはテレビ観戦する。この日は2度目の生観戦だった。

 白鵬は歴代2位の63連勝、大鵬の持つ最多優勝記録を更新するなど史上1位の記録を持つ。「白鵬関のように堂々とした勝負ができるようにがんばりたい」。1週間後の19日、15歳の誕生日を迎える天才中学生が、気持ちも新たに「横綱」を目指す。【松浦隆司】