東京都議会の臨時会が8日に開かれ、都議選で大勝した「都民ファーストの会」と公明党の反対で、豊洲市場移転問題特別委員会の廃止が決まった。対照的な立場の自民、共産を含む、民進、日本維新の会の4会派が特別委の設置を共同提案したが否決された。

 特別委設置に反対の立場から討論した都民ファの中山寛進都議は「(特別委が出した)6月の中間報告で、特別委が一定の目的を達した」と主張すると、野党会派から「本当にそう思っているのか!」、「全然都民ファーストじゃない!」などと怒号が飛んだ。

 自民で同委員会の山崎一輝前委員長は「6月20日に小池知事が豊洲と築地を共存させると決めてから約2カ月、都議会に何の説明もないのはおかしい。常任委では議論し尽くせない。特別委で責任を持つべきだ」と訴えた。議場では、普段「水と油」である自民の討論に共産が拍手を贈るという異例の光景が広がった。

 維新の柳ケ瀬裕文都議は「都議会が死んだ日」と嘆いた。先の都議選で「情報公開」を最優先の公約に掲げた都民ファ。「それを信頼して都民は投票し、都民ファは議席をこれだけ取った。議会は数の論理で動くのは仕方ないが『情報公開』を公約して得た議席。それなのに、都民ファは特別委という情報公開の場をつぶすという正反対の案を選んだ。都民への裏切りで、詐欺だ」と声を大にして非難した。

 小池知事と少数の都顧問で決められた「併用案」について「都市場職員ですら説明できない。そんな密室で決めたものを、なぜ特別委で議論して、都民の代わりにチェックを果たす都議会の役割を放棄するのか分からない…」とあきれるばかりだった。

 都民ファの中山都議が討論で「市場問題は新たな局面にある。私たちに求められているのは、知事の基本方針を着実かつスピーディーにチェックしていくことだ」と主張したことには、あきれかえった。「選挙対策で『築地を守る』とした知事に対する、ただの言いなりじゃないか…」。

 共産の大山とも子幹事長は、自民との共同提案について「都民にとって良い一致点があれば今後もある」と場面ごとに自共共闘もありうるとした。

 野党共闘-。それも自共が共同提案するという異例の事態が、都議会20期の初日に起きた。柳ケ瀬氏は「臭い物にはふたをする…。これまでの都議会の繰り返しだ。これで4年間の都議会の姿勢が決した」と肩を落とした。