妻子ある9歳年下の弁護士との「ダブル不倫疑惑」を週刊文春に報じられた民進党の山尾志桜里衆院議員(43)は7日夜、大島敦幹事長に離党届を提出した。提出後の取材では、写真を撮られた倉持麟太郎氏(34)と「男女の関係はない」と明言したが、質問は受けず、逃げるように去った。若手のホープと目された山尾氏の「脱落」は、旧民主党時代の偽メール事件以来との声も出る深刻な事態に発展し、就任直後の前原誠司代表の求心力も急落。党は、“崩壊”寸前だ。

 山尾氏は午後8時すぎ、やつれた表情で国会に現れた。自身に代わって幹事長職に就任した大島氏に、離党届を提出。その後、取材の場が設定され、山尾氏は3枚つづりのペーパーを、硬い表情で読み始めた。

 山尾氏は、幹事長内示を受けた今月2日、「週刊文春」に、倉持氏と都内のホテルに別々に入る様子などをキャッチされたが「男女の関係はありません」と明言。ホテルにも「私1人で宿泊した」と述べたが、「誤解を生じさせるような行動で、さまざまな方にご迷惑をかけた」ことを、離党の理由に挙げた。

 倉持氏は「政策ブレーン」で、頻繁にコミュニケーションを取っていたと主張。打ち合わせは2人の場合もあり「弁護士のご自宅の場合もあった」といい、信頼の強さをうかがわせた。

 「これまで離党を考えたことは1度もない」とした上で、「臨時国会、国会論戦の場に今回の混乱を持ち込むのは、さらに迷惑をかける」と説明。自身を幹事長に抜てきしようとした前原氏にも「水を差す形となった」と謝罪。何度も唇をかみしめ、目にはうっすら涙も浮かんだ。

 約6分間、文面を読み上げた後は、質疑に応じず退室。舌鋒(ぜっぽう)の鋭さと発信力を売りに、「民進党のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた姿はなかった。検事出身ながら立証責任を果たさず、「逃げるんですか」と報道陣の罵声が飛ぶ中、山尾氏は表情ひとつ変えず車に乗り込んだ。

 党関係者によると、山尾氏は、一貫して文春の報道内容を否定。幹事長や代表代行などへの起用が見送られた際も、「どうしてこうなってしまったのか教えてほしい」と周辺に相談するなど、危機感は薄かったという。「攻めには強くても、守りは弱かった」(与党関係者)との指摘もあり、脇の甘さが今回の事態を招いたともいえる。

 船出直後の前原執行部にダメージを与えた山尾氏をかばう声は党内にほとんどなく、「自業自得」と突き放す声も。離党届は提出しても、今後は説明責任が問われる。【中山知子】

 ◆山尾志桜里(やまお・しおり)1974年(昭49)7月24日、宮城県生まれ。東京学芸大付属高から93年に東大文科1類合格。99年に東大法学部卒。02年に司法試験合格。検事を経て09年、衆院愛知7区から初当選。当選2回。夫(IT企業社長)との間に1男。