「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

 

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<質問>

 職場のパワハラがひどくて困ります。入社して5年目、昨年秋までは4年間ずっと開発部門におりました。理系の大学を卒業して、希望の会社の希望部署に配属となりましたが、人事異動でいきなり営業職に配置転換となりました。右も左も分からない部署で、行ったその日からとにかく「売り上げを残せ。得意先を回れ。ノルマを達成しろ」の一点張り。職場の先輩や上司は何も教えてくれず、話しかけても相手にしてもらえません。結果も思うように残せず、会議では部員全員のいる前で叱責(しっせき)され、職場の飲み会でも上司や先輩から「役に立たない」などと言われる毎日です。このままではうつ病になりそうです。

(27歳 会社員 男性 東京都)

 

<解答>

 後手回答 人事異動はサラリーマンの宿命でしょうから、不得手な部署に行くこともあるでしょう。あなたにとっては納得が行かないかもしれません。不可解に思える配置転換も、会社にしてみれば何かしらの狙いがあると思います。

 知り合いのテレビ局員で、全然関心がない分野で未経験の部署に異動した人がいます。真剣に勉強してこなせるようになりました。新聞社の知人は長年担当していたジャンルから外れて別の仕事になった時、「結婚していなければ会社を辞めていた。我慢した」と話していました。

 この人の場合、まずはできることから順番をつけてやっていくべきでしょう。礼儀正しく得意先を回って顔を覚えてもらうとか、まずは奮起してやってみてはいかがでしょう。徐々に結果を出していけば、自信になります。会社の要求に応えて行きましょう。しつこく教えてもらうか、先輩の仕事ぶりをいい意味で盗んで、自分のモノにしていきましょう。

 プロ棋士は自分の成績によってつらい立場になることが多々あります。実力主義ですから、誰にも文句は言えません。不満な地位にいても、勝ってタイトルが獲得できれば、それに勝る良薬はありません。

 その代わり、人間、仕事とオフの切り替えが必要です。会社から離れたら、仕事のことは一切忘れる。気分転換です。趣味を持って、そちらの世界に没頭することで、うつ病は避けられるでしょう。

 最後に、上司の方にひと言。人前で恥をかかせてはいけません。部下の立場がありません。必ず1対1でやるべきです。利益追求のための厳しい注文なら結構でしょうが、まだこんな会社があったんですね。けなすだけの体質は、改善の余地があります。

 

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