民進党の前原誠司代表(55)は30日、都内の党本部で行われた両院議員総会で正式に辞意を表明し、了承された。衆議院が解散した先月28日に、小池百合子都知事(65)が代表を務める希望の党への合流を提案。結果的に衆議院の野党第1党だった民進党が、希望の党と枝野幸男代表(53)の立憲民主党と無所属に分裂し、総選挙で与党の大勝を招いた責任を取った。近く離党届を提出し、希望へ入党する。民進党は今日31日、両院議員総会で新代表を選ぶ。

 「この総会で代表を辞任させていただきたい」。9月1日の代表就任からわずか60日目の両院議員総会。この日で消える標語「All for All」のパネルの前で、前原氏は代表辞任を正式に表明した。異議は出なかった。

 前原氏は総会後、「本当に短い、しかし、濃厚な、怒濤(どとう)の2カ月だった。今でもあの選択しかなかったと思うが、政治は結果だ。責任を取らせていただきたい」と語った。記者から、希望の党への合流、党の分裂の経緯について「ウソをついたことになる」と指摘されたが「それはありません」と答えた。

 22日の衆院選投開票後に代表辞任の意向を表明したが、「最後の仕事」をするために代表を続けてきた。27日の両院総会で、民進党を地方組織も含めて今後も維持する「方向性」を決定。この日の総会前に行われた全国の地方組織の選挙担当が集まる全国幹事会では、「分裂選挙を余儀なくさせた。結果的に自民党を大勝させてしまった。政治は結果がすべて。心からおわびする」と謝罪。会では即時辞任を求める声や、地方組織の今後のあり方についての質問が相次ぎ、4時間以上、矢面に立った。

 「最後の仕事」を終えた前原氏は今後、民進党を離党し、希望の党に入る。ただ、正式辞任した両院議員総会より前に、前原氏の会派「希望の党・無所属クラブ」入りが報じられた。前原氏は「会派名は希望・無所属クラブとなっていると聞いている。問題はない」とした。民進党参院議員の1人は「武士の情けで除籍までは求めなかったが、正式辞任前の他会派入りはおかしい」と批判した。

 前原氏は希望の党に入った後も、民進党、立憲民主党と連携し、安倍1強に対抗する考えを強調した。しかし、前原氏の提案した合流によって分裂した希望と立憲は、衆院選で対立。民進党の参院議員も地方組織も、両党候補の応援をめぐって複雑な対応を迫られ、遺恨を残しており、多くの課題を残したままの辞任となった。【清水優】