「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

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<質問>

 両親の実家の処分に困っています。滋賀県に約40坪の自宅(築30年)があります。6年前に母が、父も半年前に亡くなり、今は空き家。姉は京都に嫁ぎ、私は上京して就職し、こちらで家庭を持っていますが、管理を任されました。最寄り駅から車で30分近くかかる山の中。周囲には住宅も繁華街もありません。「負動産」としないため、どんな処分方法があるでしょうか?

(48歳 男性会社員 千葉県)

 

<回答>

 不動産が、「負動産」ですか。兄弟が少なかったり、実家から離れて生活拠点を構えたりする人が多い分、こんな事例も目立つのでしょう。

 離れて住んでいると、状況も分かりづらいでしょう。仕事が立て込んだりすると、なかなか実家にも行くことができないですからね。経済的な負担になっても困ります。税金がかかってきますから。繁華街や駅から遠く離れているというのは一見、売りづらいかも知れません。

 不動産会社などとも相談して、この厳しい立地条件を逆手に取る方法を考えてはいかがでしょう。「古民家カフェ」とか、「映画のロケ先として提案する」とか。古民家カフェをやりたい人を、募ってみるのも手です。フィルムコミッションなどがあれば相談してみるのもいいでしょう。

 映画などは最近、CG(コンピューターグラフィクス)が多いのですが、中には、実写にこだわる監督さんもいらっしゃるはずです。周囲に電線や工場の煙突がないといった条件を満たせば、古い時代設定の映画に向いているかもしれません。

 田舎暮らしにあこがれたり、コンクリートジャングルの都内で生活するのに疲れた方が、気分転換で足を運んでくつろげるような古民家風の宿泊施設にしてもいいかもしれません。

 最近はインスタ映えも、キーワード。ご実家の外観をインスタグラムにアップして、アピールしてみてください。

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