東京都と2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は10日、大会中の首都圏の道路交通量を、平日量の15%削減を目標とすることを確認した。

 企業や一般市民らに車の使用を控えるよう促す「交通需要マネジメント(TDM)」で交通量を減らし、TDMで削減しきれなかった分は高速道路などの入場制限を図る「交通システムマネジメント(TSM)」で対応する。

 首都高は片側2車線区間が多く、出口や分岐点が左右に分散しているため、五輪専用レーンを設置した場合、逆に渋滞が発生しやすくなることから、全面的な同レーンの設置は見送る。交通量の目安として、首都高の平日1日の通行台数は約109万台(17年7月)。15%削減すると約92万台となる。何も対策をしなかった場合、大会中の首都高の渋滞は現況の2倍近くとなる見込み。

 鍵となるのはTDM。企業、業界団体などに呼びかけることが主な手段となる。主な項目は以下の通り。

 (1)通勤…夏季休暇の取得、テレワーク(在宅勤務)の推進、勤務時間の変更、徒歩・自転車通勤の許可・推奨、人員配置の変更

 (2)業務中の移動…出張の前倒しや延期、電話・テレビ会議への変更、混雑を避けた会議・商談の時間・場所の設定、徒歩・自転車での移動

 (3)顧客への協力願い…営業時間の変更の連絡、まとめ発注への協力、電話・テレビ会議の活用への協力、混雑を避けた会議・商談の時間・場所の設定への協力

 (4)配達・納入業者…備蓄、混雑を避けた集荷・配達時間への変更、集荷・配達の集約

 一方で、東京商工会議所が昨年11月に所属企業へのアンケートを行ったところ、「対応可能か」との問いに約3分の2が「分からない、変更できない」と回答しており、残り約2年7カ月で、意識付けができるかが課題となる。