2020年東京オリンピックの聖火リレーを話し合う調整会議が10日、都内で行われ、大会組織委員会の森喜朗会長は五輪発祥の地・ギリシャで採火した聖火をリレー本番前に「復興の火」として、東日本大震災の被災地に運ぶ計画を公表した。東京電力福島第1原発事故の影響が残る福島、大津波で多くの犠牲者を出した宮城、岩手の3県にまず、聖火を巡回させる。

 会議に出席した吉野正芳復興相は「犠牲になられた方への鎮魂、復興を担っていく被災者への元気になる」と歓迎した。

 このようなリレー本番前のイベントは五輪では異例の試み。東京五輪を招致した当初の根拠である「復興五輪」の大前提に立ち戻り、東北の被災3県を最大限、尊重するためのもの。組織委の森氏は、「聖火リレーのスタートに先立ち、東北の被災3県で順次展示をして被災地の皆さんにご覧いただきたい」と語った。

 震災から10年目に入る20年3月、聖火の到着とともに文字通り「復興五輪」をスタートさせたい考え。3県を回る順番は今後、組織委と復興庁、被災3県が協議する。

 ランナーがトーチを持って走る聖火リレー自体の出発地も最終調整中。9回の会合を重ねた聖火リレー検討委員会では、桜前線とともに聖火を北上させる意見が数多く出ており、沖縄などが候補に挙がっている。