最大9連休のゴールデンウイーク(GW)も後半に突入した。東京・上野動物園は昨年6月に誕生したパンダ「シャンシャン」の公開以来、初の大型連休とあって連日家族連れでにぎわう。だがシャンシャンばかりでなく、全国の動物園や施設では今、ちょっとしたベビーブーム。群馬県草津町「草津熱帯圏」では、1月の本白根山噴火後に生まれたカピバラの赤ちゃんが、温泉街のアイドルとして観光客を癒やしている。
草津熱帯圏は温泉街から歩いて10分ほどの、温泉熱を利用した動物園だ。ここで今年3月、カピバラの赤ちゃんが誕生した。5つ子として生まれたが、生後2週間ほどできょうだい4匹が死んだ。だが唯一残った1匹はすくすく育ち、今や草津のアイドルとして観光客に愛嬌(あいきょう)を振りまいている。
飼育舎では、おばあちゃんカピバラの「まりも」とじゃれ合ったり、温泉で水遊びしたり。飼育担当の熊本耕治さん(35)は「ミルクをあげる哺乳瓶も何度も壊されている。本当に元気いっぱい」。体重3キロ、体長も30センチまで成長した。
草津熱帯圏は、動物との近い距離感で人気だ。カピバラの赤ちゃんにも金網越しにえさのキャベツをあげることができる。観光で訪れた東京都の藤井里美さん(26)は「かわいくてずっと見てられる」とメロメロ。千葉県から家族で訪れた川名美音(みお)さん(8)も「うさぎが一番好きだけど、カピバラも好きになりました」と笑顔だった。
カピバラは性別判明まで2~3カ月かかるため、名前は決まっていない。今月中旬に確定後、名前を一般公募するという。今井敏夫園長(72)は「カピバラは当園にとって、なくてはならない存在。死んでしまった4匹の分も元気に成長してほしい」と目を細めた。【太田皐介】
◆草津熱帯圏 1970年(昭45)10月10日に開園した民間動物園。熱帯に生息する動物を中心に、150種1000頭を飼育。カピバラは現在6匹。日本で最も高い位置にある動物園(標高約1200メートル)。入園料は大人1000円、子供600円、3歳以下無料。午前8時30分~午後5時30分。年中無休。
◆カピバラ 齧歯(げっし)類カピバラ科。南米アマゾン川流域などに生息するネズミなどの仲間。生後2年ほどで体長1メートル、体重50キロ以上になる。全身を硬い毛で覆われ、足の指の間には水かきがある。温厚な性格。寒さに弱いため、冬は温泉でくつろぐ姿が話題に。