東日本大震災の被災者が、生き延びた奇跡を語り継ぐ。岩手県釜石市出身の三味線奏者、駒幸夫さん(63)は、子供たちが被災の経験を語る公演を岩手・大船渡で6月に行うため、クラウドファンディングによる開催資金の公募を始めた。昨年から、郷土芸能などと組み合わせた語り部公演を岩手県沿岸で3度開催。今後は支援者の資金援助を受け、公演を続けようとしている。「被災した観客の経済的事情も考え、過去3度は無料公演。収支が赤字だったので、今回は全国の皆さんに支援をお願いしています」と話した。

 目標は200万円で、公演費用に充てる。大船渡には駒さんのファンが多く、資金が目標以上に集まれば、今夏以降は、クラウドファンディングによる岩手県外での開催を目指す。南海トラフ地震による津波被害が予想される本州、四国、九州の太平洋沿岸を巡るつもりだ。駒さんは「津波からの自主避難を徹底し、市内の小中学生の生存率が99%だった『釜石の奇跡』を、震災を知らない人に語る。それは被災地出身者の使命」と力を込めた。

 大船渡公演は6月16日正午、リアスホールで開演。資金募集ページは「Readyfor 未来への教訓」で検索できる。