森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんで、大阪地検特捜部は5月31日、虚偽公文書作成容疑などで告発された当時の理財局長、佐川宣寿前国税庁長官らを不起訴とした。売却価格が8億円あまり値引きされた取引をめぐる背任容疑でも、交渉時の理財局長の迫田英典元国税庁長官らを不起訴とした。

 昨年2月に発覚した森友問題は、国の関係者の刑事責任が問われずに1つの区切りを迎えたが、官僚が安倍政権の意向を忖度(そんたく)した疑惑は消えず、今後、告発した市民団体などが検察審査会に審査を申し立てるとみられる。

 今後の最大の焦点は、不祥事が続く財務省トップ、麻生太郎財務相の責任問題だ。野党は徹底的に辞任を求める方針だが、この日公明党の山口那津男代表も「財務省としての処分や再発防止が当面求められる。その上で何らかの対応を問われるのではないか」と、麻生氏の責任論に言及した。財務省は4日に省内の処分を発表するが、麻生氏の処分が緩ければ有権者の反発を招き、政権にも批判が波及しそうだ。