★外務省、経産省など米中関係を探る関係省庁の分析でも、中国が米ドナルド・トランプ大統領にひれ伏すという想定はしていなかったろうが、トランプ1番の側近首脳という“自負”だけは一人前の首相・高市早苗は米中首脳会談での中国の圧勝を目の当たりにしても「エアフォース・ワンから電話があった」と負け惜しみを言うのが精いっぱいだった。

★連休前に野党や自民党内からも上がっていた「国民生活を守るため、補正予算の策定を指示して6月以降の準備をすべき」の声を高市は無視して米中会談を待ったが、18日の政府与党連絡会議で補正予算案編成も含め、対応を検討するよう財務相・片山さつきらに指示したと発言したが、判断が1カ月遅れたとみるのが正解だろう。だがマーケットは待ってましたとばかり株安、円安、債券安の「トリプル安」で反応。インフレ懸念と補正予算着手で財政悪化不安が広まった。加えて米中首脳会談では中国側が積極的に台湾問題に言及、この首脳会談の主題が、昨年11月7日の高市の台湾有事、存立危機発言が契機となり波紋を広げ、米側の台湾政策の自由度を著しく下げたことは間違いなかろう。

★17日、NHKの討論番組に出演した元駐米大使・杉山晋輔は「私は去年の高市答弁では全然おかしなこと言ってないと思うんですけど、まあ相手はものすごく日本との関係を冷やしてきた」と中国の過剰反応との認識をこの時点で言い張る感覚にも驚くが、続けて「これをすぐには修復できないけど、やっぱり民間レベル、学界、メディア、いろんなレベルで中国との対話をこれからもっと日本もやっていかなければいけない、そしてできれば首脳レベルが話ができる環境を醸成していくべきじゃないかと思います」と高市の失言を国を挙げて挽回(ばんかい)しろとのんきな発言で締めくくっていた。今後はトランプから高市は冷遇され、中国からは発言の撤回・謝罪を求められたものの半年以上放置してきたツケで始めるだろう。また19日から中国を訪問するロシアのウラジミール・プーチン大統領は中露首脳会談で中露対米国の構図を示すだろう。ウクライナ戦争の終結が中露会談でまとまれば、日本の役割はもうないかもしれない。(K)※敬称略