自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)に出馬する石破茂・元幹事長(61)が、日刊スポーツのインタビューに応じた。

 安倍晋三首相(63)の周辺が、石破氏との討論に消極的とされることについて、「討論の場を国民に提供するのは義務」と、くぎを刺した。国会議員の7割が首相支持といわれ、総裁選も「安倍1強」だが、「ものを言うために議員になった。やらないなら政治家の意味はない」と覚悟を示した。主な一問一答は以下の通り。(聞き手=中山知子)

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 -出馬表明からまもなく2週間。早く首相と討論をしたいのではないですか

 石破氏 今、国会は閉会中で、国会日程に拘束されることはない。総理大臣は日本国の全責任を担い、いろんなご負担もある。ただ、米国の大統領は日本よりもっと責任が重いですが、討論の機会があれば必ず、出ます。自民党の総裁選びではありますが、実質的には日本の総理大臣選び。自民党員だけでなく、広く国民に何が問題か、政治のあり方、それぞれの政策について多くの人が知りたいテーマはある。国民の前に、候補者が自分の思いを述べることは、民主主義、国民のために必要ではないか。義務だと思う

 -「劣勢」「逆風」と言われても出馬する

 石破氏 自民党総裁選は、国会議員20人の推薦がないと出られない。私は3度目。そのたびに20人集めるのは大変ですが、ありがたいことに20人が集まっていただいている。これでやらなかったら政治家でいる意味がないと思う。同じ自民党だから、安倍さんと私でものすごく政策が違うはずはないですが、政治のやり方、経済政策など、かなり違います。自民党員の中でも、「それは石破さんの方が正しい」と思っている方もいる。

 -孤独ではないですか

 石破氏 そんなことはありません。この時も同志が一生懸命やってくれている。

 -首相支持の派閥が、早くも人事の話をしているという話も出ています

 石破氏 人間社会だから裏ではいろんなことがあるでしょうし、あったんでしょうが、選挙の前から、対立候補を応援したらポストをあげないとか、冷遇とか。そんな自民党は今まで見たことはありません。

 -ものを言わない自民党への危機感は

 石破氏 ものを言うために議員になっているのではないですか。単に、賛成を言うためなったんですか。総裁の覚えめでたく、比例区の上位に掲載される人はごくたまにいますが、少なくとも小選挙区の議員は総裁に任命されたのではない。有権者に支持されて出てきた。自民党でも、有権者にもいろんな意見がある。国会の場で代弁するために出てきたから「代議士」という。それをやらないなら、政治家としての意味はないと私は思います。

 -主要派閥は首相を支持。今も「派閥の論理」で流れが決まる

 石破氏 私は派閥を否定したことはありません。でもかつての自民党の派閥は、小さな派閥でも領袖(りょうしゅう)を総理にしようとやった。今、派閥で出ると言っているのは、私だけ。それに安倍さんの政策を見ずに、支持を決める。自分の派からは候補を出さす、でも、支持するからポストはちょうだいね、と。それは、かつての自民党ではありません。支持するかは政策で決める。でも今は、上が決めたら「分かりました」です(インタビュー2に続く)