26日午後の参院予算委員会で、安倍晋三首相が今月末から来月初旬に予定する外遊日程をきっかけに、審議がストップするハプニングに見舞われた。与野党が早期成立をめぐり激しく対立する入管難民法などの改正案の審議日程をめぐる駆け引きが原因。河野太郎外相の謝罪に発展した。

首相は、アルゼンチンで30日に開幕するG20首脳会議に出席後、欧州訪問のため、今月29日から来月7日まで日本を離れる予定だった。しかし、立憲民主党の福山哲郎氏が「(首相の外遊日程は)12月4日までという紙が、国対に配られている」と、帰国が早まったとの情報を指摘。それに対し、首相が「政府はそんな紙は配っていない」と否定したため、情報の出所をめぐって野党が真偽をただし、予算委員会は協議を経て休憩突入を余儀なくされた。

約30分後に再開した委員会では、河野外相が「まだ確定していない日程を、外務省の早とちりで説明に回ったようだ。確定前の情報が流出したことをおわびします」と陳謝した上で、帰国は4日で調整していることを示唆。福山氏は「官邸、外務省、国対との調整が不行き届きだ」とした上で、政府与党が早期成立を目指す入管難民法などの改正案審議を持ち出し、「(7日帰国なら)臨時国会の会期末(12月10日)にほとんど総理がいないことになる。(首相の日程に間に合わせるため)衆院で早く法案を通過させるよう、明日27日にやるという話もあったが、4日までというなら方向性もみえた」と指摘。「(外遊日程短縮なら)審議はしっかりやるということか」と問われた首相は、「国会運営のことは委員会が決めること」とした上で「いずれにしろ審議をきちんとやるということになると思う。委員会に求められたら誠実に答弁する」と述べた。

改正案について、福山氏は「中身もはっきりみえず、審議は実質7時間。データも間違っている」と不備を指摘。自民党は、首相の外遊日程を念頭に早期の衆院通過を目指してきたが、野党は拙速すぎるとして、猛反発している。