厚生労働省は1日夜の緊急会見で、新たに表面化した賃金構造基本統計の問題をめぐり、総務省から1月に一斉点検の指示を受けた際、担当室長が郵送調査が不正と認識しながら、調査計画の変更に支障が出るのを避けるため「報告しない」と判断したことを明らかにした。「隠蔽(いんぺい)の意図は否定できない」と認めた。不正は少なくとも06年から行われていた。

賃金構造統計は国が特に重視する基幹統計。同省は、同統計の担当責任者で局長級の大西康之政策統括官(58)を、1日付で大臣官房付とした。事実上の更迭だ。大西氏は昨年末、担当室長から本来の調査方法ではなく郵送調査を行っていると報告を受けたが、総務省に報告していなかった。

一方、野党は担当官僚の更迭を「とかげのしっぽ切り」と厳しく批判。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「官僚まで隠蔽するのか。全体を把握していたはずの人を予算委員会の直前で更迭し、国会に呼びにくい形にした」と指摘した。毎月勤労統計を担当していた野地祐二統計管理官(58)も先月、更迭。官僚が辞めて大臣を「温存」する構図は、森友学園をめぐる財務省の公文書改ざんとも重なる。