開港160年を迎える横浜港が新たに生まれ変わった。「大黒ふ頭客船ターミナル」(横浜市鶴見区)が19日、グランドオープンし、世界的に有名な豪華客船「クイーン・エリザベス」(9万900トン)が寄港した。横浜港にやってくるのは3年ぶり。

歓迎セレモニーで林文子横浜市長(72)は、「あこがれの豪華客船を待ち望んでいました。新たな施設を建設して多くの客船を受け入れ、子どもたちが船を通して世界の文化を学ぶ機会を増やしたい」と、あいさつした。

大黒ふ頭は17年12月から改良工事が始まった。ベイブリッジの外港に位置しており、岸壁は約700メートルある。自動車専用船の岸壁を暫定的に使い、22万トン級の超大型客船にも対応できる。出入国審査や税関、検疫の機能もあり、5000平方メートルほどの敷地では、一度に5000人規模の事務処理ができる。

クルーズ人口は世界的に増加。客船の大型化も進み、ベイブリッジをくぐることができない豪華客船も多くなっており、港湾機能の強化を求められていた。

横浜港では、同じ大黒ふ頭でも貨物船が発着する岸壁で、豪華客船の寄港に対応してきた。周囲はクレーンや倉庫が目立ち、工業港のイメージが強かった。「これでは、日本屈指の港町の風景が堪能できない」との声が、ツアー会社や訪日外国人などから相次いだ。今回の運用開始で、不評が一掃できる。超大型客船の今年の寄港数は、前年の倍となる22回を見込んでいる。

横浜市では今年、ラグビーW杯決勝が行われる。来年8月の東京五輪では野球の決勝も開催される。五輪開催中の20年7月20日から8月9日には、ホテルシップとして大型客船「サン・プリンセス」(7万7441トン)を停泊させる。この船では、のべ3万6000人が宿泊の予定だ。

こうしたなか、港湾の整備、強化を横浜市はさらに進める。今年秋には、ホテルなども併設した「みなとみらい21新港地区」の客船ターミナルも開業予定。山下ふ頭、本牧ふ頭も含め、横浜の海の玄関口を整備していく。