山本太郎参院議員(44)が代表を務める政治団体「れいわ新選組」が、参院選公示日前日の3日、都内で会見を開き、公認候補に難病のALSの当事者で全身まひギタリストとして活動する、介護サービス事業「株式会社アース」副社長の舩後靖彦氏(61)の擁立を発表した。立候補は比例区となる。

舩後氏は、拓大政経学部を卒業後の1982年(昭57)に酒田時計貿易に入社し、商社マンとして活躍も、41歳だった1999年(平11)の夏にはしや歯ブラシ、ペンが握れなくなるなどの異変を感じ、翌00年5月にALSの告知を受けた。マヒは全身に及び、02年に人工呼吸器、口からの食事が困難になった人が胃から直接栄養を摂取するための医療措置である胃ろうを装着した。08年には右手中指もマヒし、現在は歯でかむセンサーでパソコンを操作しながら意思伝達装置「伝の心」を用いて講演活動を行っている。

舩後氏は、14年に松戸市議選に立候補も落選した経験を持つ。16年に相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で、19人が殺害され、27人が重軽傷を負った事件に触れ、「植松聖被告の『重度障がい者は生きていても仕方がない』などの一連の発言を考察すれば…日本に戦後欧米の労働生産性が高いものを尊ぶ文化が流入したからだと私は考える。その風潮がまん延する限り、同様の事件が再び、起こる可能性がある。危機感を覚えた私は、不特定の大学で話をしてきたが、あまりに非効率」と語った。その上で「このたび、直接文科省とこれについて話せる、千載一遇のチャンスが良い縁からもたらされた」と立候補への思いを語った。

山本代表は「高齢化社会で寝たきりが多くなると考えられる。その中、体は不自由だが頭は明晰(めいせき)。そのトップランナーの知恵を国会に入れるのは、すごく重要じゃないか。以前、市議選に出られた部分も大きいと思う」と擁立の意図を説明。選挙戦については「どぶ板をやってもらいます、じゃないですよ。極力、負担のない形で…木村さんも同じ。選挙活動は、毎日、コンスタントにというのは物理的に難しい。ギリギリのところでは週1、2回でもいいと思う。そういうお話もさせていただいている」と語った。

れいわ新選組は、前日2日も沖縄創価学会壮年部の野原善正氏(59)、公益財団法人日本自然保護協会保護室長の辻村千尋氏(51)、元JPモルガン銀行資金部為替ディーラーで思想家の大西恒樹氏(55)の擁立を発表したばかり。1日にもセブン-イレブンのオーナーを9年務めた、コンビニ加盟店ユニオンの元副執行委員長・三井義文氏(62)の擁立を発表している。

れいわ新選組は、4月10日に結党会見を開き、5月31日に北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫氏の兄透氏(64)の擁立を発表。6月27日には女性装で知られる安富歩・東大東洋文化研究所教授(56)、同28日には脳性まひで重度障がいがある、全国公的介護保障要求者組合・書記長などを務める木村英子氏(54)の擁立を発表。6月27日からの1週間で5回の会見、1回の街頭演説会を開き、山本代表以外に7人の公認候補を発表している。【村上幸将】