消費税率が1日、8%から10%に上がった。税率引き上げは14年4月以来、5年半ぶりだが、景気の冷え込みも懸念される。7月の参院選を「消費税廃止」を掲げて戦い、2議席を獲得した、れいわ新選組の山本太郎代表は9月30日、日刊スポーツのインタビューに「デフレ下での増税は、大間違い。この国に生きる人々の体力を奪うだけだ」と政府を批判した。

次期衆院選に向けて5%への減税を共通政策にした野党連携を目指しており、「そうなれば捨て石にもなる」と、主要野党に覚悟を迫った。

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山本氏が参院選で訴えた「消費税廃止」は実現されず、1日、10%になった。原因は2つと分析する。

山本氏 この時期に消費税を増税すること自体が、大間違い。デフレのような時に消費に税金をかけ、その税率を上げるような間抜けな選択をする国はたぶん日本以外ない。大企業や、(首相の)奥さまのことでお世話になった財務省への忖度(そんたく)とか、いろんなことが考えられると思う。もう1つ、消費税増税を掲げて始まった参院選で、(有権者が)止めるという決断に至らなかった。5割近い人が投票に行かなかった現実もある。何をやってもむだだという無力感。野党が希望を持てる経済政策を示せれば多少の変化はあったと思うが、そうではありませんでした。

-消費税廃止を訴える一方、「5%減税」を共通政策にした次期衆院選の連携を野党各党に呼びかける。

山本氏 今ももちろん、消費税廃止は揺らいでいませんが、我々が政権を取らないと実現できないし、それはいつか分からない。次の衆院選で私たちが野党第1党になるのは、なかなかハードルも高い。消費税廃止をただスローガンのように唱えるより、まず1歩として消費税5%減税を実現するほうが、人々の生活を救える。そういう意味で野党と共闘し、5%を共通政策にできるなら力を合わせますと宣言しました。ただ各政党との調整は、衆院解散になるとかそういう風が吹き始めない限り、前には進まないと思います。

-主要野党に「捨て身感」がないのではないですか。

山本氏 多くの方が生活困窮を目の前にし、すでに困窮している方もいる中、人々のために必要な経済政策は何か、分かりやすいもので旗を揚げるのは基本。「5%減税」を掲げた野党で戦うことが確認できなければ次の衆院選は、れいわ単独で候補者を立てます。

-消費税は歴代政権の「鬼門」。10%増税は政権の体力も奪うのではないか

山本氏 政権の体力が奪われる前に、人々の体力が奪われているのが現状。体力があれば「許すまじ」という言葉も出ると思います。デフレが20年以上続き、みんなが貧しくなっている中で財政規律を持ち出すなど、(国民を痛めつけるという意味で、安倍政権は)ただのDV野郎です。

-参院選で得た期待を、どう維持していきますか

山本氏 私たちは、いつ選挙になってもいいと思っています。年内でもいい。1年後なら、その間に準備を進められます。いつでも受けて立つという気概がない野党はいりません。徹底的なゲリラ戦をやっていきます。今の野党を見ていると、まだ与党マインドが残っているように感じる。自民党は政権を失った後、必死でしたが、今の野党には徹底的に権力を奪いにいく気迫が感じられない。私たちは捨て身で、人々の生活を引き上げるために権力を取りに行く覚悟です。次の選挙で政権交代可能な体制にすることが、この国に生きる人の苦しみを解放する近道。5%減税を野党の共通政策にすれば捨て石にもなりますと言っていますが、なかなか…ということです。(聞き手・中山知子)