10月末に離任するペレイラ駐日キューバ大使(52)が4日、東京都港区の同国大使館で記者会見した。米トランプ政権によって復活し強化されてたキューバに対する経済制裁について、「海上封鎖を受けているようなもの。国民を苦しめ、人道的かつ経済的な損害を与え続けている」と批判。日本政府に対しても「米政府の意向とは関係なく両国は良好にやっていきたい」と希望を込めた。

11月の国連総会には「米国による対キューバ経済・貿易・金融封鎖を終わらせる必要性」決議案を提出する予定で、「日本政府の支持を期待している」と述べた。

同大使は16年10月に着任、3年に渡って両国関係の深化に務めた。在任時の衝撃的な体験として、18年10月にヒルトン福岡シーホークに宿泊予約をした際、キューバ政府要人であることを理由に拒否されたことを挙げた。同ホテルは米国本社の指示を受け、日本国内で営業するホテルであっても米国法を守る義務があると主張していた。後に行政処分を受けたが、同ホテルの日本の主権を無視した姿勢に憤りを覚えたという。

今年はキューバとの国交樹立90年の節目を迎え、「政治レベルでも両国要人の往来が増えて来ており、友好関係は深まっている」と歓迎した。

一方、米国との関係は悪化の一途。オバマ政権下の15年7月に国交回復したが、2年後に発足したトランプ政権では方針転換。過去にキューバが米国資産を接収したことを理由に経済封鎖をエスカレート。米国人の渡航や米国企業の活動を制限するだけではなく、同盟国にも同調を求めており影響の拡大が懸念されている。関係の深いベネズエラからは、原油や経済支援の減少で物資不足が続いている。