9月に初入閣したばかりの菅原一秀経産相(57)が、政治家として致命的な問題の直撃を受けた。

秘書が先週、選挙区内の有権者に香典を持参した“現場写真”を、24日発売の「週刊文春」が掲載。公職選挙法が禁じた行為だけに、与党内でも菅原氏をかばう声はほとんどない。菅原氏は菅義偉官房長官の側近だが、辞任は不可避との見方が強まっている。25日に国会で説明するが、内容次第ではさらに追い込まれそうだ。

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「週刊文春」によると、菅原氏の秘書は今月17日、選挙区の東京・練馬区の斎場で営まれた支援者の通夜に参列、受付で香典袋を手渡したという。喪服姿の男性が香典袋を渡そうとする写真を「決定的瞬間」として掲載した。政治家本人が持参する場合をのぞき、秘書が代理で選挙区内の有権者に香典を渡す行為は、公選法が禁じた「寄附の禁止」に抵触する恐れがある。

同誌はまた、同様に公選法が禁じる、故人への供花の自宅送付を事務所が手配したと指摘。発注のファクス書面も掲載した。

菅原氏は、選挙区内有権者への物品配布の疑いも抱えている。メロン、かになどが記された「贈答品リスト」を作成したという元秘書の証言を、今月15日に国会で野党に追及されたばかり。菅原氏は「リストは初めて見た」と否定したが、秘書とされる男性が香典を手渡す「現場」を押さえられたのは、その2日後。知らないでは済まない事態に追い込まれている。

菅原氏は24日の衆院本会議を欠席。対応に追われた可能性がある。取材には「明日、国会で話します」と答え、25日の衆院経産委員会で説明すると述べた。

委員会では与野党が質問を予定。野党は、菅原氏が「調査中」などウヤムヤな説明をすれば、今後の委員会開催に応じないと自民党に伝えた。立憲民主党の安住淳国対委員長は「事実なら責任を取ってほしい」と、大臣辞任を求めた。自民は、まず経産委での説明を見守るが「秘書が香典を渡したならアウト」(関係者)の声もあり、後任候補の名前まで飛び交っている。大臣就任の際は皇居で認証式が行われるが、現在皇室行事が立て込み、進退判断は遅れるとの分析もある。

菅原氏は、菅氏に近く「菅印」と呼ばれる。その菅氏は会見で菅原氏自身の説明を求め、自身が話を聞く考えはないと突き放したように述べた。「お友達&在庫一掃」といわれた第4次安倍再改造内閣発足から、まだ40日あまりだが、早くもほころび出している。