NHKは28日、都内で、NHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)に対して受信料の支払いを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起したと発表した。

また、これとは別に、これまでNHK勝訴で判決が確定した2件についての損害賠償請求訴訟の賠償金など計134万7697円の支払請求書を立花党首に送付したことも公表した。

提訴についてNHKは、参議院議員会館内の事務所の受信機1台について、8月、9月分の受信料4560円の支払いを求め、支払いがない場合は法的手続きを取る旨を通知をしていたが、期限までに支払いがなかったため、民事訴訟の提起に至ったと説明した。

NHKは8月28日に振込用紙を送付したが、支払期限の9月末までに支払いがなかったと説明。10月7日にも送付したが期限までに支払いがなかったため、支払わないという意思が明確で、視聴者からも毅然(きぜん)とした対応を求める声が数多く寄せられることをふまえ、提起に至ったとした。立花党首の名前を公表したことには「立花氏は契約は法律上の義務だからするが、支払いは別。受信料は踏み倒す。速やかに訴えてほしいと公言していた。世間の関心が高く、公の立場の発言であったことから公表することにした」と説明した。また「支払督促に応じて支払う可能性が極めて低いことから、受信料債権について最短で確保できる提訴を選択した」とした。NHKによると国会内の受信機を対象にした訴訟は初めてという。

続いてNHKは、損害賠償金などの支払請求書の送付について説明。不法行為に対する損害賠償金の支払いを求める請求書を立花党首に送付したとし、請求書の根拠になっているのは裁判で確定した判決とした。つまりNHKが立花党首を訴えて勝訴が確定したが、まだ払われていない損害賠償金について、いわば債権回収のために請求書を送付したという。

NHKによると、これまで立花党首は、自分では原告にならず、視聴者を促してNHKに対する裁判を数多く起こさせてきたとされる。今回、具体的には立花党首が視聴者を促して受信料契約・収納業務のための視聴者宅への訪問を不法行為だとしてNHKを訴えさせた2件の訴訟で、NHKが勝訴。その後に逆にNHKはこの2件の提訴がNHKの業務を妨害することを目的とした不法行為であるとして、対応に要した弁護士費用相当額の支払いを求めて立花党首と2件の訴訟の各原告を逆提訴し、NHKが勝訴していた。判決はそれぞれ17年12月と19年6月に確定していた。請求額2件の合計は134万7697円(損害賠償金108万円および遅延損害金、訴訟費用)という。NHKは賠償金の全額を立花党首に請求することにし、促された視聴者は求めていないという。立花党首に名義を貸しただけで、NHKは主な責任は立花党首にあると考えているとした。

NHKは支払請求書の送付で2週間後の支払期限までに支払いがなければ立花党首への法的措置も辞さない方針と説明した。

NHKによると、NHKと立花党首をめぐる裁判は20件あるという。