大学入試をめぐる問題は終息したわけではない。大学入学共通テストの英語民間検定試験が延期になったことを受けて、野党4党は緊急集会を開催した。

立憲民主党の枝野代表は「声を上げれば政治は動く。民主主義の本来の姿を久々に取り戻せた」と話し、延期中止を求めて活動してきた現役高校生や教職員、野党議員の健闘を称え、連係を強調した。しかし、これを第1歩ととらえ、気を引き締めることも忘れていなかった。制度の欠陥を指摘してきた人々は、民間試験活用の完全な中止や、共通テストの国語や数学の一部に導入される記述式問題の中止などを強く求めている。

記述式問題の採点は、約61億円で落札したベネッセグループの学力評価研究機構が担当する。時間がない中の採点のため、約1万人のアルバイトが必要との情報もある。50万人分を短時間に公正に採点できるのか。採点のブレをなくすためには限られた言葉、制限された言葉に誘導するような問題になりかねない。マークシートをマス目に替えただけになりかねず、思考力、表現力を問う目的からかけ離れ、形骸化するのではないかなどの指摘が出ている。またプレテストでは、自己採点と実際の採点結果との一致率が低く、受験生の2次試験の学校選択に影響があるのではないかとの懸念も出た。

この日、野党4党が開催した「第2回英語民間試験の延期を求める会」に参加した現役高校生からは「民間に丸投げするのではなく、中止してほしい」「見直す過程では現場、若者なども入れて意見を聞いてほしい」「記述式問題は各大学でやればいい」など厳しい意見や注文が相次いでいた。

一方、衆院文部科学委員会は5日、参考人質疑を実施する。最も受験生が多いとみられながら沈黙を続けた試験「GTEC(ジーテック)」を実施するベネッセコーポーレーション、延期を要望した全国高等学校長協会、実施を要望した日本私立中学高等学校連合会の代表者と、制度の欠陥を指摘してきた京都工芸繊維大の羽藤由美教授が招致されている。羽藤氏は「根本的見直しが必要と訴えていきたい。構造的欠陥があり、このままでは維持できない」と話している。